AVID クリエイティブ・ソフトウェアの90日ライセンスを無償提供

新型コロナウイルスの影響でテレワークを余儀なくされているスタジオ・映像業界に向け、AVIDがクリエイティブ・ソフトウェアの90日ライセンスを無償提供すると発表しました。

新型コロナウイルスの感染予防として在宅勤務やテレワークを余儀なくされ、オフィスやスタジオにアクセスできないお客様を支援するため、3月16日から4月17日までの期間、Media Composer | Ultimate, Pro Tools、Pro Tools | Ultimateおよび Sibelius | Ultimate の90日間のテンポラリーライセンスを無償で提供いたします。 

Avid Spotlight 3月号より一部引用

Pro Tools は、2016年3月にリリースされたバージョン12.5で、セッション・ファイルをプロジェクトとして管理し、複数ユーザーで共同作業することが可能となるクラウド・コラボレーションに対応していました。

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対象となるユーザー

該当製品の有効な(永続またはサブスクリプション)ライセンスをお持ちの会社 / 放送局 / 教育機関で、新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務などのテレワーク体制となっていて、オフィスやスタジオ、学校施設へアクセスできない場合です。 

Avid Spotlight 3月号より一部引用

コンサートなど人が集まる場所での公演などは中止となっている現状ですが、既に収録したものや、メディア向けのコンテンツなどは今まで通り制作が進んでいる状況だと思います。ナレーション編集や、ボーカルのテイクエディットなどの作業は自宅でも出来ます。

クラウドコラボレーションを使えば、編集者とその次の作業をする人が同じ場所にいなくても作業をすすめることが出来ます。また編集に不具合があったとしても、Protoolsのプレイリスト上にあるものに関しては引き継いだ人でも修正できますし、わざわざ作業をやり直してもらわなくても解決できるシチュエーションが増えるでしょう。

Protoolsのクラウドコラボレーション機能とは

この動画を見てもらうと概要はつかめるかと思います。2016年の動画ですが、概念としてはほぼ同じだと思います。

この機能を使うことにより、スタジオに行かなくても、それこそ海外にいたとしてもレコーディングが出来るというわけです。可能性を感じますね。

Protools以外でもクラウドコラボレーションの技術はありました。その昔LogicにもRocket Networkという機能がありました。また、僕の知り合いの制作会社の人は、別の技術を使ってヨーロッパのオーケストラを日本にいながらレコーディングしていました。

ですので別段新しい技術というわけではありません。テレワークという余波がこの業界にも及んできたため、再び注目されているというところだと思います。しかし、使いようによっては、今後の制作の流れを変えていける可能性を持っていると思います。

日本でのクラウドコラボレーションの可能性を考えてみる

しかし、日本でクラウドコラボレーションが広まるには、まだまだ時間がかかるのではないかなと思っています。パリに住んでいる時に何度か映像を使ったスカイプミーティングでの打ち合わせを経験しました。その体験を元に普及に時間がかかる理由を挙げてみます。

  1. パソコンの画面を通してのリアルタイムのやり取りに慣れていない
  2. インターネット回線の問題
  3. そもそも忙しすぎる

まず1ですが、単純にパソコンの画面を通して会話をすることに慣れていない人が多いと思います。挑戦してみると意外とすんなり行えるということが理解できるのですが、挑戦しないことにはハードルが高いままです。その結果、インターネットを通じたリアルタイムのやり取りに抵抗を感じてしまうのだと思います。

そして2ですが、不安定なネット環境だと通信が途切れたり、映像が映らなくなります。これは日本側の問題だけではありませんが、夜の時間の東京のネット回線は遅くなります。専用回線を引かない限りこの問題は解決されませんが、それなりの費用もかかります。(日本はインターネットの料金が高いという問題もあります。)よって普及しないループが起こります。

3ですが、ネットワークエラーが起こって作業が滞っても問題のない状況でないとネット上でのやり取りはうまくいきません。忙しいとその余裕はなくなります。今まで経験してきたレコーディングの様子から想像すると、ネットワークエラーが起こったとしたら「やっぱりネットではだめだ、直接来てもらおう」となるに違いありません。忙しいスケジュールで制作が行われている状況にネットワークエラーは敬遠されます。

以上のことから、現状では一部の現場を除き、クラウドコラボレーションがすぐには活用されないのではないかと思います。

これを機に慣れておく

個人的にはすぐにでも使いたい機能です。しかし、相手がいないことには意味がありません。これを機に使い始める人が増えてくれることを願います。

また、クラウドコラボレーションという技術をうまく活かすことによって、無駄な労力やお金を節約できるようにもなります。その分を他の事へと使えるようになるのは言うまでもありません。これを機に新しい技術を取り入れ、無駄をなくしていくことも大事なのではないかと思います。

この状況が早く終息することを願うばかりです。

それでは!À bientôt.

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