たかが落書き、されど落書き。グラフィティに著作権はあるのか?

グラフィティとは、スプレーやサインペンなどを使い壁などに書かれたいわゆる「落書き」のことです。日本でも有名なバンクシーもグラフィティアーティストの一人です。パリには沢山のグラフィティアーティストがいて、彼らの作品は至るところに存在しています。そんなグラフィティに出会い「アルバムジャケットに使いたい!」と思ったことがきっかけとなり今回の考察が始まりました。

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グラフィティをアルバムジャケットに

僕の作品のジャケットに、あたかも公共の壁に落書きをしたかのようなものがあります。シングル「Welcome Home」のジャケットです。それがこちら。

Welcome Homeのジャケット

ちなみにこの壁の場所はこちら

もちろん実際に書いたわけではなくフォトショップを使って落書きを再現しました。この壁をキャンバスとして使おうと思った理由は、海外のリスナー向けに日本っぽい雰囲気を入れたいと思ったからです。標識や看板、横断歩道はお国柄が出るのです。

パリで出会ったグラフィティ

そのままジャケットとして使いたくなるものもありますね。頭をよぎったのが「これらグラフィティを勝手に使うと一体どうなるんだろう???著作権はあるの?」でした。だって人の家の壁などに勝手に描いたものですからね。ところが、勝手に書いたものなんだから良いじゃん!では済まされないようなのです。

グラフィティと著作権の問題

グラフィティと著作権。
今年に入ってからロサンゼルスを中心に活動するアーティスト REVOK(レヴォク)が、自身のグラフィティ作品に対する「著作権侵害」で、大手アパレルブランドH&Mを訴えました。
H&Mがキャンペーン用に撮影した写真にREVOKの作品が写っていたことを発端に始まったこの訴訟でフォーカスされたのは、グラフィティをアートとするか、それとも違法な落書きとするか。一時は全面対決の様相を呈していましたが、最終的にH&MはREVOKに対する訴訟を取り下げ、和解の道を探ることに。

グラフィティはアート?それとも違法な落書き?/ARTLOGUE 2018.07.19より引用

一説によると、グラフィティの場合「所有権」と「著作権」が別れているようで、例えば書かれた壁には「所有権」があり、持ち主の采配で撤去・破棄はできるが、描かれた作品には「著作権」があるので持ち主がコピーして販売するということは出来ないらしい。さらに営利目的が絡んでくるとさらに複雑になりそうですね。

音楽の場合はどうなの?

音楽の場合は使われるシチュエーションが営利目的なものなのかどうかによって変わって来ます。その辺はJASRACが細かく基準を設けているため使用する側もされる側も安心です。

JASRACのwebでは、JASRAC登録曲を使った場合の使用料の概算も出せるようになっています。
例えば、ファッションショーでJASRAC登録曲を使う場合、入場料5,000円、来場者数100人、JASRAC登録曲を10曲、60分使用した場合の概算は、一公演につき26,400円となるようです。

※実際は異なる場合があります。詳しくはJASRACへお問い合わせください。

巷では色々言われているJASRACですが、著作物を預けている側からするととてもありがたい存在です。

なんだかグレーゾーンだな、、、

ということで、グラフィティには音楽ほど明確な線引が有るようで無いようで有るようなので、あえて突っ込むのはやめようと思いました。国によっても捉え方が違うようなので、これでは世界に向けての配信は難しいと判断しました。

どうしても使いたいと思うようなグラフィティに出会ったなら直接交渉する価値はあるかもしれません。ただ、海外のアーティストとなると言葉の壁・文化の壁などから交渉に時間がかかる可能性もあります。交渉の甲斐あって使用許諾が下りたとしても、その時点でグラフィティが残っているという保証もありません。既に撮影したものがそのまま使えるクオリティなら良いですが、撮り直そうとした時には上から違う絵が書かれている可能性は高いです。そういったことから、街に書かれているグラフィティを使うのは現実的ではないようです。

ジャケットデザインから曲へフィードバック

この曲のコンセプトは「神経衰弱な男性が自宅に帰ってきたが、玄関に見えたのはただの壁だった」というものです。単なる壁が自宅の玄関に見えてしまうという錯覚を表現しています。冒頭のサイレン音は錯乱状態と救急車のサイレンの両方をイメージしています。

実はこの曲、作っている最中はコンセプトが明確ではなかった曲なのです。それこそお蔵入り曲だったのですが、ジャケットデザインが決まった時にアレンジを大幅に修正してリリースになりました。

そんな背景があって出来た曲がこちらです。

ラジオエディットというのは、ショートバージョンのことです。前回の記事の「音素材のサブスクリプション」の素材をふんだんに使い「リズムマシーンが一体になったサンプラー」でリズムを構築して仕上げています。

音素材のサブスクリプションサービスについて考えてみる。その1 〜フレーズサンプリングの背景

ぜひ聴いてみてください!

最後に、グラフィティのことやH&Mの件を教えてくれたMihoちゃんありがとう!訴えられなくて済んだよ(笑)

それでは!À bientôt.(またね!)

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