リスニング環境って大事だよね。僕のモニタースピーカー選びのポイント

一昔前のスタジオではヤマハのNS-10M(テンエム)というモニタースピーカが定番でした。このテンエムが生産中止になって久しいのですが、今も色々なメーカーから10Mに取って代わろうと数多くのモニタースピーカーが発売されています。今回は数ある中から僕がどんな基準でモニタースピーカーを選んだのかをまとめてみました。

※真似をする場合は自己責任でお願いします。

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220Vで使えるかどうか

もうこれは絶対です。220Vで使えないものは最初から除外します。それくらい僕にとっては大事なポイントなんです。電子楽器は基本100Vで使うよりも220V~240Vで使ったほうが音が良いです。もうこれ絶対です!

日本製品でもスイッチング電源といって、使用する電圧をスイッチひとつで変えられる製品もあります。他にもヒューズの向きを変えることによって220V以上で使える機材もあります。

FOCAL Shape Twinの電圧切り替えスイッチ

電圧を上げるステップアップトランスを用意する

電圧を上げるにはステップアップトランスというものを使います。Amazonなどでも手に入ります。アメリカ仕様だと110V~120Vとなっていて、ヨーロッパ仕様だと220V~240Vとなっています。今見てみたところ500VAのものでも4,000円くらいでした。「ステップアップトランス 220V」というワードで出てくると思います。

僕が使っているトランスは秋葉原で20年近く前に購入したものです。まだ当時はAmazonが無かったので直接お店に行く必要がありました。

コンセントプラグの形状

ひとつ気をつけなければならないのはコンセントプラグの形状です。トランスの出力側のコンセントプラグの形状がヨーロッパで使われているCタイプ、もしくはSEタイプなので、合わせて購入する必要があります。

Cタイプは海外旅行グッズにある変換プラグでも代用できます。この場合日本と同じプラグに変換できるため電源ケーブルを別途用意する必要がありません。

Cタイプのプラグ形状

僕はパリで使っていたSE3芯タイプのテーブルタップを持ち帰りそのまま使っていますが、これもAmazonで購入可能です。その場合電源ケーブルも「SE3芯オス→Aタイプ3芯メス」を買う必要がありますが、これもAmazonで購入可能です!便利な時代ですね。

SE3芯タイプのプラグ形状
SEタイプ3芯オス→Aタイプ3芯メスの電源ケーブル

ちなみに、Amazonの「変換アダプタ・変換プラグ」のカテゴリで「ヨーロッパ」と検索すると電圧変換しないプラグが沢山出てきます。

聴き比べさせてもらおう

僕はFocalというフランスのメーカーのShape TwinとShape65のどちらかに決めていたので、この2つを聴き比べさせてもらいました。2つに絞った理由は「EDM(エレクトリックダンスミュージック)に強いといわれている」からと、ヘッドフォンがとても素晴らしかったことからの期待を込めてというところです。それと大好きなエンジニアの一人ニラジカジャンチ君のスタジオNK Sound TokyoがFocalをメインモニターとして使っていることも大きな理由のひとつです。

「EDMに強い」というネットの評判を参考にするのも良いのですが、やはり実物を聴いてみることが大事です。僕は渋谷のロックオンカンパニーで視聴させてもらってから購入しました。

視聴用の音源は自分で用意します。僕はMacBook Proとオーディオインターフェースを持ち込み、その時製作中の楽曲を使い聴き比べました。実際のセッションファイルを立ち上げシンセのエディットなんかもします。普段と同じような使い方をして初めて違いがわかるのではないかと思います。もちろんリファレンスとなる曲もあるのでそれも使い聴き比べます。

結局Shape Twinを購入しました。レンジが広く低域がよく出ていて、噂通りダンスミュージックに合いそうな音でした。

手前左がFocal Shape Twin、真ん中がShape65

環境が変わっても印象が変わらないかどうか

Twinを選んで良かったと思うもうひとつのポイントは、これで作った曲はどんな環境で聴いても印象が変わらないということでした。これは視聴ではわからなかった嬉しい誤算です。

僕の曲が使われる場所は、テレビからネット配信、コンサート会場と異なる環境で使われるので、アトリエで作っている時の印象と媒体から流れてきた印象が違うと困ります。

2019年7月、氷川きよしさんのデビュー20周年コンサートでEDMアレンジのメドレーを担当しました。武道館2デイズと大阪城ホールでのコンサートでした。その時既にShape Twinを導入済みで、アトリエでの印象と大ホールでの印象が変わらないということが確認できました。響きがタイトな武道館と、奥行きがあり残響の長い大阪城ホール、そのどちらでもアトリエと変わらないバランスを再現できました。

印象というのは主にバランス的なことで、聴く場所の残響作用で楽器のバランスが違って来ることがあります。例えば、低域が出すぎていることに気づかず作ってしまい、ホールなどの低音の響く会場ではマスキング効果によって他の楽器が聴こえにくくなってしまう現象のことです。

武道館のステージでも同じ印象だったのは驚き!

近隣の迷惑にならないよう気をつけよう

しかし、良いことだけではありませんでした。あまりの音の良さに、気づけば段々とモニター音量が上がってしまい、近隣からクレームが来てしまいました。。。特に防音工事をしなくても音漏れは大丈夫な物件なのですが、このスピーカーの低域再生能力は、床を伝わり近隣の皆様のもとへと届いてしまったようです。。。。

それでは!À bientôt.

※電圧を上げて使う場合は必ずメーカーに確認してください。トラブルに関しては自己責任でお願いします。

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