音素材のサブスクリプションサービスについて考えてみる。その2 〜インターネットの普及による変化

スポンサーリンク

そしてサンプリングCDはダウンロードの時代へ

サンプル素材をパソコンで管理できるようになったと同時に、インターネットのスピードが劇的に上がり、何ギガにも及ぶダウンロードも苦にならなくなってきました。サンプリングCDはネット上で販売されるようになり、販売店からは実物が消え始めました。

ユーザーにとってのメリットは

  • 在庫切れで取り寄せを待たなくても良くなる
  • 販売店に行かなくても購入が可能になる
  • 販売店が定休日・深夜でも購入が可能になる
  • 自宅などの聴きなれた環境で視聴できる
  • 制作中の曲に合わせて視聴できる

メーカー・販売店にとってのメリットは

  • パッケージ制作(印刷・プレス)費用の削減
  • 配送費が掛からなくなる
  • 在庫を抱える必要がなくなる
  • 試聴スペース・試聴機を置く必要がなくなる

このように、メーカーにとっても販売店にとってもユーザーにとってもメリットが一致し始めます。

過去にCD媒体として販売されていたものも続々とリリースされ、今ではどんな種類のものでもネットで簡単に手に入れることができます。素材単位でも購入ができるようになり、必要なものを必要な時に必要なだけ購入することが出来ます。

今まで通りのパッケージ販売もある

購入形態がCDからダウンロードに変わっただけで、今まで通りのパッケージ販売も行われています。ジャンルや楽器などの統一感がほしい時にはパッケージまるごと購入するのがオススメです。

例えば「ホーンセクション」のパッケージの場合、同じフレーズのテンポ違い、キー違いなどが収録されていたり、パートごとに分けられていたりするものが多いので「トロンボーンで始まりトランペットが重なってくる」という使い方が出来る時もあります。

毎週日曜日放送の日テレ「シューイチ」では、ラテン系ホーンセクションのサンプルを組み合わせて作っています。パリに住んでいる時に作った曲で、パリ市内にはサンプルライブラリーを扱っている店が無いのでインターネットで入手しました。統一感が欲しかったのでパッケージで購入しました。

定額制の内容と種類

毎月〇〇円で〇〇個までダウンロード可能、というのが音素材のサブスクリプションサービス(定額制)です。僕が契約しているSpliceというサービスはいくつかのプランが有り、月7.99ドルで100個〜月29.99ドルで1,000個までダウンロード可能といった内容です。ダウンロード数が契約数より少ない場合は次の月へ持ち越されます。

他にもNoiiz.comやsounds.comやLoopcloudというサービスもあります。sounds.comは日本ではまだ契約できません。クオリティが高いので、早く日本でも使えるようになるといいです。(視聴はできる)NoiizとLoopcloudは日本からでも契約できます。デスクトップアプリが用意されていて、制作中の楽曲と同期させながら視聴できます。

Loopcloudアプリはとてもユニークで、アプリ上でサンプルのエディットやエフェクトを施す事が出来ます。購入前にエディットを施し、気にったらそのサンプルを購入できる仕組みです。購入したサンプルはクラウド上にも保存されているのでエディット前のオリジナルもダウンロード可能です。Loopmasterによるサービスなので、過去にネット購入したパッケージもアプリ上に表示されます。加工して再利用することで眠っていたライブラリを有効利用できるかもしれません。

Loopcloudデスクトップアプリ

定額制ならではのサービス

Spliceではソフトウェアシンセサイザーのプリセットもダウンロードすることが出来ます。1プリセットに付き3ダウンロード分のクレジットを使う仕組みです。ブラウザ上で視聴でき、メジャーなソフトウェアシンセのプリセットが豊富です。このサービスはEDM(シンセサイザー)に強いSpliceならではのサービスです。

他にもプラグインエフェクトやソフトウェアシンセサイザーの定額制サービスもあります。種類によって月額は違いますが、払い終わると購入扱いになり、途中でやめることも出来ます。一括で買うと高価なプラグインでも途中キャンセル可能だと気軽に試すことができます。低リスクで新しいプラグインを試せるのは今どきのサービスならではですね。

Spliceサンプルブラウズ画面、プレイリストでの管理もできるのが便利

Spliceを選んだ理由

EDMに強いからというのが一番の理由ですが、ユーザーインターフェースとの相性が良いのです。

僕の場合、欲しい楽器や素材が決まっている時に使うことが多く、どれだけ早く目当てのサンプルにたどり着けるかがポイントになってきます。一度に聴く数も1,000を超えることもあるので、いかに楽に操作が出来るかが大事です。Spliceのユーザーインターフェースは下矢印キーだけで次のサンプルへ移ったり、次のページへ行ったり出来るところが気に入っています。もたつきもありません。

そして、ダウンロードしたサンプルはSpliceアプリ上に一覧となるので、後はドラッグアンドドロップするだけ。ダウンロードフォルダから探し出す必要がありませんシンプルでスピーディです。ブラウザ上でプレイリストを作ればアプリ上にも反映されます。この辺のフローもスムーズです。

ドラッグアンドドロップするだけですぐに使用できる

ブラウザ上で作ったリズムをサンプラーに転送

また、SpliceではBeatMakerというページがあり、ここで作ったデータをサンプルのみ、MIDIファイルのみ、そしてPioneer DJのマルチトラックサンプラーSP-16(DJS1000)のファイル形式でダウンロードすることが出来ます。

僕はこのサンプラーが大好きで、ヌケと混ざり具合がよくCDJ(パイオニアのDJ用CDプレーヤー)とのテンポ同期が取れたり、マルチアウトが付いているのでレコーディングでの使い勝手もよく、パソコンとUSBでデータのやり取りもできたりと、今どきの機能も備えた良くできたサンプラーのひとつだと思っています。

このサンプラーは素材をサンプリング、もしくはインポートしてプログラムを組むことによって演奏できるようになるのですが、あらかじめweb上でパターンを作れるので、実機にサンプリングをする手間を掛けずに確認することができます。行ったり来たりする手間が省けるため、地味な機能ですがとても助かります。

SplicePioneer DJ SP-16の親和性は高い

手軽にフレーズサンプルが手に入るようになったが、、、

手軽にフレーズサンプルが手に入るようになり、音楽に詳しくない人でも気軽に曲が作れるようになりました。サンプルを並べただけでも1曲作り上げることも出来るので、果たして自分が作ったものと呼べるのかどうかが囁やかれ始めます。

これは今に始まったことではなく「サンプリング」とは切っても切り離せない問題です。

次回はこの問題について触れてみたいと思います。

それでは!À bientôt.

スポンサーリンク
最新情報をチェックしよう!