日本人に好まれるメロディを検証してみる その1 〜米津玄師が多用するスケールは?

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メロディというものを見直してみようと思う

レディ・ガガによるOne Worldやその他コラボレーションの企画により、インターネット上でのライブが盛んになっていますね。
多くが自宅からの弾き語りのためシンプルな楽器構成・アレンジになっている為メロディがより際立つようになりました。国や人種を超える力はメロディにあるということを再確認しています。

そんな背景もありメロディラインというものをもう一度見直してみようと思いました。EDMばかり作っているとメロディ<アレンジという比重で考えてしまっているため、一度原点に立ち返るという意味もあり、どうせなら日本人に好まれている楽曲を解析してみようと思いました。

気になるアーティスト第一弾は米津玄師さん。どこか懐かしいようなメロディとハッとする仕掛けのあるメロディだと僕は感じますが、一体どうなっているのでしょうか。

よく使う音をグラフ化してみる

検証するポイントはたくさんありますが、まずはスケールとその中のどの音をよく使っているのかをグラフにしてみたいと思います。メロディ譜をもとに音符を数えました。日本野鳥の会のごとくカウンターを使って1音1音数えました。

グラフの横軸は「音階」です。度数で表しています。左から
1度・短2度・長2度・短3度・長3度〜〜〜長7度
となっています。キーが違っても度数で表せば、よく使う音階が目に見えるようになります。

グラフ化のメリットはひと目見れば度の音を多用しているかがわかることです。感覚ではなく、数字を使いロジカルに検証していきましょう。

Lemon

キーはAフラットマイナー。エオリアンスケールがベースで途中ハーモニックマイナーがスパイスとして入ってきます。米津さんの曲は異なるスケールがちょっと入ってくるという特徴があります。

多く使われている音は「短3度・4度・5度・短7度」で次いで「1度・長2度・短6度」です。

パプリカ

キーはGm、エオリアンスケールがベースで、サビでG(Em)に転調します。Gmの部分でハーモニックマイナーがアクセントで入ります。サビもEmとして捉えると同じくハーモニックマイナーがアクセントで入ります。

多く使われている音は「1度・短3度・4度・5度・短7度」です。

馬と鹿

キーはCm、この曲もエオリアンベースです。アクセントは

  • Aメロは3,7小節目にドリアン
  • Bメロフリジアン、ブルーノート
  • サビではドリアン、フリジアン

という風に異なるスケールが要所要所に入りアクセントになっています。多く使われている音は「短3度・4度・5度」で次いで「1度・長2度・短6度・短7度」です。

打ち上げ花火

DAOKOとコラボしたこの曲は、タイトルからの思い込みも含め懐かしさに溢れています。夏の日を思い出すような印象ですね。この曲のキーはEフラットマイナー。この曲はエオリアンのみですが、多く使われているのが「1度・長2度・短3度・4度・5度・短7度」で短6度が少しです。

米津玄師が多用するスケールは?

4曲を通して多用している音は以下のとおりです。

  1. 短3度(21.7%)
  2. 4度(18.2%)
  3. 5度(17.2%)
  4. 1度(14.1%)
  5. 短7度(13.6%)
  6. 短2度(8.6%)
  7. 短6度(4.4%)

面白い結果が出ました。ベースとなるスケールはマイナーペンタトニック(赤文字)と捉えても良いのではないかと思います。

まとめ

米津メロディはどこか懐かしく、昔どこかで聴いたことがあるような雰囲気を持っています。これは、世界中で使われているマイナーペンタトニックスケールがベースになっているからではないかと思います。日本ではマイナーペンタトニックスケールはニロ抜き(2・6度抜き)とも言われていて、民謡や童謡などにも多く使われています。

センスを感じるのはアクセントで入る異なるスケールです。その中でもハーモニックマイナーは西洋的な雰囲気を醸し出す効果があります。日本的なヨナ抜きに西洋的なハーモニックマイナーが組み合わさり、そこに長2度や短6度で滑らかさを出していると捉えると、とてつもないセンスを感じますね。

譜面を見て気づいたことが他にもいくつかあったので、次回はその辺を書いてみたいと思います。人の曲を検証するのって面白いですね。勉強になります。

それでは!

À bientôt.

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