最初のテイクが一番良かったりもする
バンドレコーディングでもボーカルレコーディングでも、一番最初のテイクが勢いがあり、何テイクか録音しても最初のテイクが一番良かったりします。
楽曲制作にも同じことが言えるときがあります。考えすぎて余計な音色を入れ過ぎたり、トリートメントしすぎて荒々しさが無くなってしまったり、またその逆もしかり。構成をあれこれ試したりもするでしょう。最初のバージョンが良かったかも、、、なんてこともあります。
僕はセッションファイルもラフミックスも、手を加えたものは全部残すようにしています。聴き比べるという作業はとても大事で、時には新しいものを破棄して古いバージョンに戻る勇気も必要です。
バージョン管理はこうする
僕のバージョン管理は「rev」という名前をファイル名に入れて管理しています。リビジョンの略で若い番号から順番に付けていきます。
例えばこんな感じです。
Rest II_rev2_0131
Rest II_rev3_0201
曲名_リビジョンナンバー_日付
という名前の付け方です。
rev2.2みたいに小数点は使いません。拡張子と被るからです。
なぜそんなにリビジョンができるのか
僕はひとつのリビジョンが出来上がると何度も何度も聴きます。そして違和感を探り次のリビジョンで修正、また聴き直して違和感を探り修正して次のリビジョンに、という具合です。
この違和感がなくなるまで何度も聴き何度も直します。時間がないプロジェクトの場合はRev2くらいまでしか行きませんが、基本何度も聴き直し違和感を探します。
聞き返していると違うフレーズが聴こえて来ることもあり、次のリビジョンで取り入れます。いくつかのリビジョンが出来上がったら、全部のリビジョンをプレイリストに入れ、繋げて聴きます。そうすると前のリビジョンで良かったところや、直したけれど勢いがなくなった感じが比較しやすくなります。
ではリビジョンを聴き比べてみよう
次のアルバム「Reaction」に収録予定のRest II という曲のスケッチです。1月31日に3つのリビジョンを作りました。
Rev1でおおよその方向性は見えています。ピアノのフレーズをフィーチャー、歌が入ってきたらピアノを下の方へ動かし歌を際立たせる。この後のリビジョンでもそれは変わりません。
Rev2では、最後の部分のコード進行を変えました。キザんでいるシンセサイザーもフィルターオートメーションを入れて盛り上げる仕掛けを入れました。rev1は少し「のっぺりしている感じ」がしたからです。これが違和感ってやつですね。展開を作ることとシンセの音色を場所によって変化させることでのっぺり感を払拭しました。終わり部分もオルガンのフェードアウトを入れました。
Rev3ではハモりパートを追加、シンセの音色の変化ももっと大げさにしました。盛り上がりに少し欠けた感じがあったからです。ドラムのハイハットのパターンも変わりました。やけに耳についたのです。「休息」というタイトルなのに少しセカセカした感じが出てしまったので修正しました。後ろでずっと聴こえていた低いループも大幅カットしてすっきり感を出しました。終わり方も変わっています。ループとオルガンがフェードアウトしていきます。
直感は外れるけど、違和感は外れない
「直感は外れるけど、違和感は外れない」という言葉を知る。ほんとその通り……直感より違和感のほうが精度が高いので、創作でいきづまってる人は、ひらめきを待つよりとりあえず書いちゃって、数日おいてから違和感を探るほうが手っとり早いように(経験上)思います。
— 朝霧カフカ (@kafkaasagiri) April 29, 2018
クリエイターにも色々なタイプがあると思うのでこの限りではないと思いますが、僕は激しく同意です。違和感は外れない!
そうした違和感を探り、手直しした結果リビジョンが増えてゆきます。これも創作において大事なプロセスだと思います。
それでは!À bientôt.