ものを作るときに形をつくりだす元になるものを型といいます。伝統や習慣、形式や基準などの様々な意味を持ちますが、この「型」を上手に使うことで作品作りがしやすくなり、個性やバリエーションも引き出せることがわかりました。
「型」が使われている作品
まずは名作を例に型とは何かを説明します。
- 葛飾北斎の代表作のひとつ「富嶽三十六景」では各地から見れる富嶽(富士山のこと)を必ず描いています。36作品に共通するのは富士山です。富士山が型となります。
- 歌川広重の「東海道五十三次」では東海道にある53ヶ所の宿場町の様子を描いた作品です。出発地の日本橋と到着地の京都を入れた55作品に共通するのは宿場町です。宿場町が型となります。
- モネの代表作「睡蓮」は200点以上の作品があり、今も世界中の美術館で展示されています。この作品に共通するのは睡蓮です。睡蓮が型となります。
違う言い方をすれば、型とは一貫性のあるのテーマともいえます。型を作ることによって作品のテーマが明確になり、それが作家性にも繋がっていきます。
バリエーションを増やしたい時にも「型」を使ってみる
バリエーションを増やす上でも型がとても有効的です。民族芸能に型が用いられている例として長野県「新野の盆踊り」を紹介します。
毎年行われている新野の盆踊りは、毎晩9時から翌朝6時位まで踊り続けられます。長時間踊る人を飽きさせない仕組みがいくつかあるのですが、そのひとつに「歌詞が多様性にとんでいる」という要素があります。多様性を作り出すその仕組みは七七七五の歌詞にあります。ここでも文字数が型となります。
また、短歌の世界では、五・七・五・七・七、俳句の世界では、五・七・五の決まりの中で言葉を選んでいきます。どちらにも共通するのは文字数です。文字数が型となります。俳句の季語も型といえます。
このように、型を設けることで発想を思い浮かべやすくなったり、作品のバリエーションが容易に作り出せたりします。うまく活用すれば自分の作品作りもよりスムーズになりそうですね。
僕の型はこんな感じ
- アルバムジャケットには書道を使う。
- 書の文字はアルバムタイトルを漢字一文字で表す。
- アルバムの楽曲構成はメドレー曲と、そのパーツになった曲を収録する。
- ジャンルは主にテクノを中心としたダンスミュージック。
- ランウェイで流れていることを想定。
1と2の書道は、小学生〜中学生まで習っていたのでスキルとなります。
3は、作曲とDJ(メドレー)の両方のスキルを活かす作品作りを模索した結果、このような楽曲構成にたどり着きました。
4、ダンスミュージック作りが得意です。
5は、今後の僕が挑戦したい分野「ファッションショー」を想定しています。
あえてこの型を設けることで脇道に逸れることが無くなり、集中して曲作りが出来るようになりました。この型は僕オリジナルのものなので誰も真似する事ができません。というか、誰も真似する必要がないと思います。
自分なりの型を見つけるには
型作りには自分が持っているスキルを見つけることが重要になってきます。意外と自分にとっては当たり前のことが型の要素になったりもします。僕の例で言えば書道です。無理やり習わされていたのでスキルとは思いもしませんでした。
得意だと思うスキルも入れましょう。僕はテクノを作ることが最も得意です。
今後進んでいきたい方向性を入れることも必要です。今後ファッションショーの音楽を作っていこうと思っているのでこれは必須項目です。
このように「自分のスキル+得意なこと+進みたい方向性」を混ぜると自分だけの型が誕生します。
浮世絵が参考になるかもしれない
美人画といえば歌麿とか、役者画といえば誰々、風景画は誰々と得意な分野が作家ごとにあります。それが作家の個性やバリエーションを生み出していることを確認できると思います。東京だと太田記念美術館やすみだ北斎美術館などがあります。
おすすめです!
それでは!À bientôt.