EDMでは一番盛り上がる部分=サビではない
一番盛り上がる部分=サビとするなら、EDMではちょっと事情が違ってきます。EDMにおいてはDrop(ドロップ)という部分が一番盛り上がります。殆どの場合、ドロップでは歌が無くなりバックトラックも一番シンプルになり、ドロップダウンする場所がライブで一番盛り上がります。
それを知らない日本のクラブでは、ドロップになるとドリンクを取りに行ったり、照明が明るくなり間奏扱いされているのを何度も目撃しました。
ただ、EDMに限らず欧米の曲ではドロップが用いられることが多くなりました。その逆で、日本の曲にドロップが登場してくることは稀です。ねらって作らない限りドロップは出てきません。なので、日本にいるとドロップという概念が湧きにくいと思います。
ドロップとはどんなものか見てみよう
ドロップというものがどういうものなのかを、日本人でも馴染みやすい歌ものでのドロップでいくつか紹介します。歌の構成としてはヴァース→コーラス(ビルドアップ)→ドロップというタイプが多いです。
ビルドアップというのは、スネアの連打などでドロップに向けて盛り上げていく仕掛け部分のことをビルドアップといいます。西洋人はこの部分では踊らず指笛を吹いたり、雄叫びを上げたりしています。
The Chainsmokers – Don’t Let Me Down
41”からコーラス(サビ)、1’05″からがドロップです。
The Chainsmokers – Closer
同じくザ・チェインスモーカーズのヒット曲「Closer」。51″からコーラス、1’11″からドロップです。
Zedd, Alessia Cara – Stay
46秒からがコーラス、更にもりあがるドロップはこの後1’06″から。(イビザでは歌詞部分は大合唱となる曲)
David Guetta ft Justin Bieber – 2U
57″からドロップです。落ちているわけではありませんが構成としてはドロップですね。
Selena Gomez, Marshmello – Wolves
1’18″からがドロップです。マシュメロお得意の柔らかい雰囲気のドロップです。
Kygo, Justin Jesse – Stargazing
59″からのメロディが胸にグッときますが、1’21″からがドロップです。1’40″からリズムが入ってきますがここもドロップです。
DJ Snake – Magenta Ridden
歌ものと言って良いのかわかりませんが、54″からがドロップです。
1’30″までにドロップが来る構成
初めて気づいたのですが、どの曲も1’30”以内にはドロップが来るような構成になっていますね。ある種の法則なのかもしれません。
ヴァース→コーラス→ドロップという構成が定番のようですが、もともと欧米の曲はヴァース→コーラスという構成が多く、それにドロップが追加されたのがEDMのスタイルと言えそうですね。
日本の楽曲の構成に当てはめてドロップの説明をするとしたら、以下のようになるのかと思います。
Aメロ | ヴァース |
Bメロ | 無い |
サビ | コーラス |
大サビ | ドロップ |
Bメロは存在しないと捉えたほうが理解しやすいですね。今まで「Bメロがサビなんです」と人に言うたびにポカーンとされてしまったのですが、今度からは上の表のように言い換えます。しっくり。
そもそもドロップの存在意義は?
ここで単純な疑問が湧いてきます。そもそもドロップはなんのために存在するのか?ということです。コーラス=サビなら盛り上がれる場所は存在します。それではダメな理由を考えてみます。
イビザ島に通ってわかったことは、日本で言うところの「フェス」的なイベントを主催するクラブは、歌もののEDMがほとんどです。そして、欧米の人たちの殆どが曲に合わせて歌っていました。あくまでも想像ですが、カラオケボックスと同じような意味合いをもっているのではないかと思います。
踊るという行為に関しては、日本人とは違い音楽が流れていたら踊りだす人は多いです。ヨーロッパでも南に行けば行くほど多くなると感じました。
歌ものに合わせて歌うとなると、ドロップは「狂ったように踊るパート」とも捉えられます。歌詞のある部分は歌うことに集中してドロップでは踊る事に集中するように感じました。以上のことから、メリハリをつけて楽しむためにドロップというパートが生まれてきたのではないかと想像します。
となると、日本人にはドロップという概念が定着しにくいというのも納得です。ただ、ドロップの盛り上がりを体験してしまうと再現してみたくなります。このへんは日本人に合わせてアレンジする必要があるのかもしれませんね。新たな課題が見えました!
それでは!
À bientôt.