クリエイティブなことをやりたい人ほどお金と向き合う必要があると思う今日このごろ、そんな時に行動経済学まんが ヘンテコノミクスという本に出会いました。
※一部、本の内容がわかってしまう表現がありました。自主的に修正して更新しました。
報酬が動機を阻害する
行動経済学というのは「人間はかならずしも合理的には行動しないことに着目し、感情的な側面をベースに分析される経済学」というものです。ちょっと難しそうですが、この本では漫画でわかりやすく解説してくれています。
その中でも印象に残ったのがアンダーマイニング効果です。「報酬が動機を阻害する」という抑制効果がこの本の第一話で紹介されています。なぜ印象に残ったかといえば、自分がこれと同じような体験をしたことがあったからです。
アンダーマイニング効果
子供たちの落書きに悩まされていたおじいさんの話が出てくるのですが、楽しむために落書きをしてた子供たちにお小遣いを上げることで落書きをする目的がお小遣いをもらう目的にすり替わってしまったという話です。
好きでしていた行動(内発的動機)に、報酬(外発的動機)を与えられることによってやる気が無くなってしまう現象をアンダーマイニング効果と呼びます。「土台を壊す・弱体化させる」という意味があるそうです。詳しくは本を読んでみてください。他のエピソードも「なるほど!」というものばかりです!
僕のアンダーマイニング体験
僕が30代の頃、突然印税が入り始めます。今までの収入の10倍くらいのお金を突然手にして大喜び、早速大好きだった車を買いました。ところが、時間が経つにつれ仕事に対するモチベーションが少しずつ下がっていきます。これではいかん!とモチベーションを上げるためにより大きな目標を掲げます。
そんな時、今まで入っていた印税が急に入らなくなります。CDやDVDがプレスされる毎に発生する著作権使用料も、増販がされなくなった時点で入らなくなります。そんなことが重なったため収入が激減します。
印税を手にして経済的に豊かになり、目的が(無自覚で)切り替わる、その後収入が減ったことにより曲を作る楽しさが無くなってしまったのです。今思えばこれがアンダーマイニングでした。音楽を作る楽しさ(内発的動機)が報酬を得たこと(外発的動機)によって薄れてしまったのです。
脱アンダーマイニング体験
その後、思い切ってパリに移住しました。パリの文化に触れ、沢山のアートや音楽、素晴らしい才能を持った人達、美味しい食事やお酒に出会い僕の心が変化してゆきます。
日本人が想像するパリは「華やかでおしゃれで高級な街」といったところだと思いますが、実際はそんな事ありません。お金に困っている人もたくさんいます。でも、皆お金が無いなりの楽しみ方を知っています。スーパーで買った食べ物や飲み物を持ち寄りパーティーをするのです。週末になると誰かの家に集まり深夜までパーティーをしたり、またある時は地べたに座ってセーヌ川でピクニックをして楽しい時間を過ごします。
とにかく楽しかった。自分の心が豊かになっていくのを実感しました。この体験のおかげで、お金があることと心の豊かさはイコールではないということを学びました。
その結果、曲を作ることが楽しくなりました。朝早く起きては曲を作り、友達と遊んで帰ってきては曲を作りの毎日。やっと感覚を取り戻しました。生まれて初めてギターを手にした時と同じような新鮮な気持ちが蘇りました。
脱アンダーマイニング法
わざわざパリに移住しなくても脱アンダーマイニング出来る方法があります。
「もし生活に困らないお金があったとしたら、本当に作りたいもの(したいこと)は何?」と問いかけてみてください。そしてなるべく具体的に答えを出します。
- 出てきた答えと現状が同じ、もしくはその方向へ向かっていると実感できるならそれはとても素晴らしいことです。是非それを続けていくべきでしょう。
- 出てきた答えと現状が違うとしたら、、、
まだ本当にやりたいことが見つかっていないか、表現したいものが見つかっていないか、お金に振り回されているか。いずれにせよ何らかの感情が邪魔をしている可能性があります。
脱アンダーマイニングするには、常に自分の感情と向き合い心をクリアな状態にしておくことで何を表現したいか、どうしたいが明確になります。
それでも生きていくためにお金は必要です。生活をするのに困らない安定した状態を作ることも脱アンダーマイニングにつながると思います。その方法のひとつとしてベーシックインカムが良いのではないかと思っています。
その話はまた今度!
À bientôt.(アビアント)