連日美味しいレストランで美味しいものを食べて幸せな日々を送っていますが、美味しいものに触れれば触れるほど食と音楽の共通点が浮かび上がってきます。
料理も音楽も出来上がるまでに色んな段階があると思いますが、段階を追って共通点を見える化してみようと思います。
今回は素材選びにおける「目利き力」とは何かを解析して、音楽制作に応用してみようと思います。
素材選びとは
料理の全てはここから始まります。料理なら食材選びですね。音楽の場合は素材=メロディと捉えてもいいと思いますが、僕の場合はそのままズバリ「サンプル素材」選びです。
自分のアルバムでは自作のメロディの他にSpliceからサンプルを選び、編集したものを曲中に入れ込んでいます。そのプロセスがまさに料理と同じプロセスなので、それを事例に話を勧めてみようと思います。
「素材選び」をする時に着目するポイントは以下のようになっているのではないかと思います。
- 鮮度
- 出来具合
- 旬
- 調和
これらのバランスが取れた時「使える素材」となるのではないかと思います。もう少し詳しく見てみましょう。
鮮度とは
鮮度とは、素材の新鮮さの度合いです。魚や野菜をイメージしてもらえればわかると思います。鮮度はとても大事な目利きポイントだと思います。
鮮度が良ければどのようにも扱うことが出来ます。生でも煮ても焼いても何でもござれです。しかし鮮度が落ちてくると生で食べるよりは火を通したほうが良いですね。このように鮮度は食べ方=調理方法に直結してきます。
鮮度を音楽にたとえると、「音質」となるのではないかと思います。サンプル素材なら「きちんと録音されているか」というニュアンスが近いような気がします。
例えば歌素材のサンプルを探しているとしましょう。マイクとの距離や周辺のノイズが少ないほうが使い勝手も良くなります。ノイズが混ざっていたらアカペラでは使えませんし、マイクとの距離が遠かったら歌をメインには持ってこられません。
このように鮮度はトータル的な意味での音質と捉えた時に、より音質の良い素材を探せるかどうかが「目利き力」となります。
出来具合とは
もっと良い言い回しがありそうなのですが、とりあえず「出来具合」という言葉で進めます。
「今年の米は出来が良い」などとよく言いますが、完成度みたいなものかもしれません。
出来具合を音楽に例えると「フレーズの完成度」という解釈になると思います。洗練度と言ってもいいですね。フレーズにはメロディラインやリフ、プレイされている内容も含みます。
フレーズの完成度が高い素材であれば音質と同じく使い勝手が上がります。出来具合が悪ければ何らかの工夫をしないと使うことが出来ません。
旬とは
食べごろの時期、出盛りの時期という意味の旬は、季節感とも同じような意味合いもありますね。
音楽にも旬はあります。流行り=旬と捉えても問題はないかと思います。
旬にとらわれない音楽を作りたいものですが、それには旬を理解してないと出来ないのではないかとも思います。
旬を過ぎたアプローチはたちまち「古い」とか「ダサい」と言われてしまいますし、時代の先を行ったアプローチは理解不能となり受け入れてもらえません。
食材をイメージしてもらえればわかりやすいと思います。旬を過ぎた食材は美味しくなくなっていきますし、先取りした食材は「青い」と表現されるように食べごろではありません。
なので旬を意識した素材選びはとても重要です。特にこの日本においては旬は命とも言えるでしょう。
調和とは
これは一般的な概念ではないかもしれません。僕が考えました。調和とはニーズと素材のマッチ感です。
ニーズはお客さんの求めるものです。料理で例えるなら、山に来たのにエビフライの盛り合わせは食べたくないですよね?
音楽で言えば、生音を求められているのにシンセサイザーでアプローチしてしまうようなものだと思います。たちまちニーズとの不調和が起こります。
何を求めて来てくれたのか?を意識するのは当たり前のことだと思いますが、その当たり前をきちんと意識して素材選びをするのがプロです。
4つの要素を意識して素材を選ぶ
- 鮮度=音質
- 出来具合=フレーズの完成度
- 旬=流行り
- 調和=ニーズとのマッチ感
のバランスが取れていればそれは「使える素材」となります。プロの料理人も使える素材かどうかを見極めるために、先程の4つのポイントを使って素材の目利きをしているのではないかと思います。
この辺は近々料理人に聞いてみようと思いますが、少なくとも僕がサンプル素材を選ぶときはこの4つをポイントとして見ています。ということは、
目利き力とはこの4つのポイントを見れる力のこと
だと言っても良いのではないかと思います。もちろん他の要素もありますがざっくりいえばこの4つです。更に言えば
この4つを意識することで目利き力が鍛えられていくと思います。
僕は1日に1,000個以上の素材を聞くことがあります。今までは無意識でしたが、この4つのポイントを基準にしていることは間違いありません。その基準がはっきりしているからこそ1,000個以上のサンプルを瞬時に聞き分ける事ができるのだと思います。
素材さえ良ければ後はどうにでもなります。素材選びはモノ作りの基礎中の基礎!いちばん大事な工程ですね。
ということで、この次は目利きした素材を「下ごしらえ」するプロセスに入ります。次回は料理と音楽の共通点で下ごしらえを見える化してみたいと思います。
ちなみに、今日行ったレストランはこちらRestaurant WAO
三浦で採れた地場食材を使った料理が絶品のレストランでした!都内ではありえないくらいリーズナブル。居心地も良くテラス席も気持ちがいいレストランです。また行ってみようと思います。
それでは!
À bientôt.