音楽打ち合わせなどで「スピード感がほしい」とか「激しめにお願いします」と言われることがあります。「雰囲気」と呼ばれる抽象的な表現です。今回は雰囲気は何によって構成されているのかを考えてみたいと思います。
雰囲気の構成要素
いろいろな要素が組み合わさって「雰囲気」と呼ばれます。ではその構成要素は何でしょうか?
まずは、音楽がどんな要素で構成されているのかを書き出してみたいと思います。
- メロディ(音の高低)
- メロディ(符割)
- コード
- テンポ
- 音色(楽器)
- 奏法
- 構成
- 人数
- 歌詞
- 声質
などなど。インストと歌もので多少構成が変わりますね。ではこれを元に雰囲気がどの要素と関係しているのかを見ていきましょう。
スピード感
スピード感を司るものは以下の通りです。星の数で示してみます。
- 音の高低…☆☆☆☆☆
- 符割…★★★★☆
- コード…☆☆☆☆☆
- テンポ…★★★★★
- 音色(楽器)…☆☆☆☆☆
- 奏法…★★★☆☆
- 構成…☆☆☆☆☆
- 人数…☆☆☆☆☆
- 歌詞…☆☆☆☆☆
- 声質…☆☆☆☆☆
スピード感は「テンポ・符割・奏法」で構成されていると言えそうです。他の要素をいじってもスピード感は変わりませんね。
激しい感じ
- メロディ(音の高低)…★★☆☆☆
- メロディ(符割)…☆☆☆☆☆
- コード…☆☆☆☆☆
- テンポ…★★★★☆
- 音色(楽器)…★★★★★
- 奏法…★★★★★
- 構成…☆☆☆☆☆
- 人数…☆☆☆☆☆
- 歌詞…★★☆☆☆
- 声質…★★★☆☆
メロディの高低差があると激しいと感じることもあると思います。テンポを早くしても激しさが出ることもありますね。一番影響があるのは音色と奏法では無いでしょうか。エレキギターも歪ませれば激しさが出ますし、弾き方でも激しく出来ます。歌詞は内容による激しさという部分が少し加味されるかなということで星2つです。声質や歌い方によっても激しさを醸し出すことが出来ますね。
懐かしい感じ
- メロディ(音の高低)…★★★★☆
- メロディ(符割)…★★★★☆
- コード…★★★★☆
- テンポ…★★★☆☆
- 音色(楽器)…★★★☆☆
- 奏法…★☆☆☆☆
- 構成…☆☆☆☆☆
- 人数…☆☆☆☆☆
- 歌詞…★★★★★
- 声質…☆☆☆☆☆
人によって懐かしさは違います。以前も書きましたが、都会で育った人と田園風景の中で育った人では懐かしさが違うはずです。でも懐かしさを音楽で表現するとしたら上のパラメータで構成されているのではないかと思います。
大きく作用するのは歌詞です。メロディとコードも「型」がありますね。音色やテンポも大体決まってくると思います。「懐かしい」に関してはすり合わせ作業がとにかく大事だと思います。
温かいけど切ない感じ
- メロディ(音の高低)…★★★★☆
- メロディ(符割)…★★★★☆
- コード…★★★★★
- テンポ…★★★☆☆
- 音色(楽器)…★★★★☆
- 奏法…★★★★☆
- 構成…★★☆☆☆
- 人数…☆☆☆☆☆
- 歌詞…★★☆☆☆
- 声質…★★★★☆
これはいろいろな要素が含まれていますが中心となるのはメロディとコードです。例えばキーがCならFメジャー7thやDm7・Em7などが温かくも切ない感じに適しています。音色も影響します。アコースティックギターでもガット弦かスチール弦かで温かみが変わってきます。奏法も弱く弾くのと強く弾くのでは温かみが変わってきます。声質もかなり影響しますね。
「もっと切なくして」とか「温かみが足らないかも」と言われたら上記のパラメータをいじってみると良いと思います。
言葉の裏側に隠れている要素を見える化する
自分なりに自分の言葉に変換しておくと、抽象的な表現をされてもうろたえることはありません。上記の要素ももっと細かく分けることが出来たり、足りない要素もあるかもしれません。
自分自身で抽象的な言葉を思い浮かべ当てはめていくと、足りない要素が見えてくるかもしれません。
そうやってトレーニングしていくと抽象的な表現に出会いたくなります。むしろ何を言っているのかわからない表現に出会うとワクワクするようになります。
現場では意外と抽象的な表現が飛び交っているものなのです。
それでは!
À bientôt.