金の切れ目が何とやらと言いますが、やはりお金の問題はきっちりしておかないとですね。今回はコーライティングにおける分配について考えてみたいと思います。
お金の話は最初にする!
せっかく良いものが出来上がっても、最後にお金でもめたら意味がありません。先日購入した「最先端の作曲法 コーライティングの教科書」にも作業前に全員で確認しておくことがおすすめされています。
コーライティングの場数を踏んできた著者だけにとても説得力がある内容でした。分配方法でもめてしまい、その後二度とコーライティングを一緒にしなかったという例をたくさん見てきたそうです。
僕がやっているU/Sという2人組のユニットは完全折半にしています。明らかに作業量が偏っている場合はアレンジ料で調整しますが、印税に関しては基本折半です。事前に決めているので一度もトラブったことはないですね。
コーライティングは当分配が原則
コーライティングで仕上げた作品が世に出てからしばらくすると印税が入ってきます。入ってきた印税を等分配するのが原則で”作法”だと著者の方はおっしゃっています。例えば3人で1曲を仕上げたとしたら3等分、4人なら4等分というのが原則だそうです。
僕がコーライティングを始める時にはマネジメントを間に入れてお金の管理をしてもらおうと思っています。著作権管理や分配したお金を振り込んだりと、作業が終わってからもやることは沢山ありますし、その部分を普段からやっている人に任せたほうがスムーズです。
ルールだけは最初に決めておき、曲作りに関わった人は振り込まれるのを待つだけという状態にしておこうと思っています。
色々なケースで考えてみる
いくつかのケースを想定して分配方法を考えてみたいと思います。
ケース1:仮歌以外が採用された場合
4人のチームでコンペに出した曲の仮歌以外が採用された場合をシミュレートしてみましょう。
チーム構成によっては仮歌のためだけにコーライティングに参加するメンバーもいるかと思います。しかし、リリースされる作品はアーティスト本人が歌うので仮歌はデモにしか使われません。
歌詞とメロディはそのまま採用された場合の分配はどうなるかというと、作詞印税を4人で、作曲印税も4人で分配します。
「お前仮歌しか歌ってないじゃないか!」となるかもしれませんが、コーライティングに参加している以上当分配します。逆に言えば、分配されることがわかっているので、歌い直しやなほを入れるなどの作業を気兼ねなく頼むこともできます。
コンペなので「出来上がりをいかにイメージしてもらうか」が大事なので、手をかけた分クオリティが上がり採用されやすくなるかもしれません。
ケース2:作詞・仮歌以外が採用された場合
3人チームで歌詞・仮歌以外が採用されたケースを考えてみましょう。例えば、一人で歌詞と仮歌を担当していた場合、その人の作ったものは1つも採用されていないということになりますが、この場合でも当分配が原則です。分配の対象となるのは作曲印税です。
アーティスト物の場合、アーティスト本人が歌詞を書くケースもあります。この場合だと採用されたのは「メロディ」だけなので、作曲印税を3等分します。
ケース3:コーラスだけ外注した場合
4人のチームで歌ものを作り、コーラスだけクラッシク歌手に外注した場合を考えてみましょう。採用されたのは仮歌以外の部分を想定してみます。
想像できるケースとしては「ゴシック的な女性ボーカル(コーラス)」を外注する場合などがこのケースにあたります。特に歌詞もなくAhやOhなどのボイスのみでメロディラインを歌ってもらうことも多々あります。
外注ということはコーラスの方はコーライティングチームではないので採用されようがされまいが「ギャラ」を払って歌ってもらうことになります。となると金額は本人との直接交渉となります。そして「そのギャラはどこから出るのか?」をはっきりさせておく必要があります。
制作費があり採用されることがわかっているならば制作費から出してもらえば良いと思います。僕がマネジメントを入れておきたい理由はこういったケースの為でもあります。
外注パートがとても重要な部分ならば、完全なるコンペの場合でも「コーライティングチームでギャラを等分して払う」のがスムーズかもしれません。採用されるかどうかわからないのに外注できないのであれば、知り合いに安く頼むなど工夫するしかありません。
ケース4:トラックメイカー・アレンジャーの取り分
一般的に作業量が多いのがトラックメイカーやアレンジャーになります。では彼らへの分配はどうした良いのかを考えてみましょう。
トラックメイカー・アレンジャーの作業は、採用されれば「アレンジ料」が支払われます。それは印税形式ではなくワンショット、いわゆる”とっぱらい”での支払いが一般的です。
この場合トラックメイカー・アレンジャーを担当した人が正当な報酬として独占しても構わないのがコーライティングの原則だそうです。
ただ、トラックも皆で作ったりアレンジに協力した場合であれば、ここも等分することになります。
メンバー同士のコミュニケーションが大事
結局の所いちばん大事なのは「メンバー同士のコミュニケーション」です。あとになってトラブらないためにも作業の前にしっかりとディスカッションする必要があります。
メンバー同士がお互いを尊敬し会えなければチームとして成立はしませんし、良い作品も生まれません。
ここで考えたケース以外のことも起こりうると思います。その時にきちんと全員で納得できるようなチーム作りを心がけることが大事なのかもしれませんね。
楽しくなりそうです。それでは!
À bientôt.