今回のプロジェクトのおかげで、Vocoderをかなり使いこなせてきました。今回メインで使ったのは「iZotope Vocal Synth2 」と「Waves OVox」。それぞれの特徴がわかってきたので、動画で解説したいと思います。
※追記、Ovoxにもサイドチェインモードがありました!
ボコーダーの仕組み
Spliceからダウンロードしたボーカル素材をモジュレーターとして使います。モジュレーターとは、ボコーダーの元になる音源で、一般的には人の声です。そのモジュレーターにキャリアと呼ばれるシンセなどの音源を入力してあげることで、いわゆるボコーダーサウンドになります。
具体的な使い方
まず、歌のトラックにボコーダーブラグインをインサートします。次に、キャリアとなるシンセサイザー(今回はSerum)のトラックを作り、そのアウトをボコーダートラックに送ってあげます。(DAWによってルーティングは異なる)
あとはボコーダーのパラメーターを調整したり、キャリアとなるシンセの音色を変えることでボコーダーの音色も変化します。
Vocal Synth2のルーティング
Vocal Synth2は一般的なボコーダーと同じキャリアを入力するという使い方の「サイドチェインモード」と、MIDIノートデータを送る「MIDIモード」のふたつがあります。MIDIモードはただのノートデータなので音色をコントロールすることは出来ません。あくまでもメロディラインとして使うモードです。
OVoxのルーティング
OVoxはMIDIモードのみです。音色はOVoxのパラメーターで変化させます。ルーティングはシンプルですが、Ovoxも、MIDIモード、サイドチェインモード共に装備しています。他にも和音モード、スケールモードなどがあり、エンベロープやLFOも装備していて、パラメーターにアサインすることが出来ます。かなり深く突っ込んで音を作り上げることが出来ます。
※追記
MIDIモードはOvox内蔵されているシンセをキャリアとして使い、サイドチェインモードでは外部入力したシンセをキャリアとして使う仕様です。
それでは動画を見てみよう
ボコーダー単体で使うことは無いと思うので、簡単なバックトラックを作り混ざり具合も確認出来るようにしてあります。全トラックEQ、コンプ、リバーブはなしの状態です。
Vocal Synth2のモードの音色の違い
Vocal Synth2のMIDIモードとサイドチェインモードの音色の違いがわかるような動画にしました。プリセットは同じ、違うのはルーティングのみです。
キャリアに使うシンセの音色がシンプルであれば、モードが違っても音色の違いは出ません。今回の動画では、Serumのユニゾン数を上げた時のコーラス効果と、OSC Bを足して、OSC AにFM変調をかけた時の音色の違いを作ってみました。
25秒あたりからサイドチェインモードです。キャリアの音色の変化がボコーダーに影響しているのが確認できると思います。
OVoxのサウンドキャラクター
今回の動画では深く突っ込んでエディットしてないのでポテンシャルが引き出せているわけではないですが、音のヌケはOvoxのほうが良いですね。特に和音になった時にその差がはっきりと出る気がします。
動画の1’05”からOVoxの和音ですが、キザんでいるシンセよりも浮き立って聴こえます。もちろんもっと丸くすることも出来ます。逆にVocal Synth2は浮き立たせるのがちょっと大変です。今回のプロジェクトで苦労した点です。
モジュレーターのMIDIデータの作り方によっても聴こえ方が変わる
今回、ボコーダーを使ってみてわかったこと、それはモジュレーターとなる側のMIDIデータの作り方で聴こえ方が全く変わってくるということです。変わってくるというより、よりボコーダーらしく聴かせるためのMIDIデータの作り方があることがわかりました。
次回の記事でデータの作り方の違いによる聴こえ方の違いを書いてみようと思います。
それでは!
À bientôt.