オリジナル作品を作ろうとするとぶち当たる壁
今年に入ってから、オリジナル作品を立て続けにリリースしています。息詰まるどころか次から次へとアイデアが湧いてきます。最近よく人から言われるのは「どうやったらアイデアが湧くの?」とか「何を作ったら良いかわからない、どうやったら作れるの?」です。
職業作家ほどこの問題を抱えているように思いますが、オリジナル作品を作ろうとすると必ずと言っていいほどぶち当たる壁ではないかと思います。僕自身も何年も乗り越えられずに苦しんでいました。
職業作家は普段、クライアントさんからこういう物を作って欲しいとリクエストされて作業に入ります。作りたいものはクライアントさん側にあって、こちらは応えるだけということがほとんどではないかと思います。
それが長年続き習慣として染み込んでしまうと、自分から作りたいものを導き出すことが難しくなってくるのだと思います。では、どうやったらそこから抜け出せるのでしょうか。
原点に立ち返ってみる
原点というのは、自分がどんな曲が好きなのかを書き出すことから始めます。ちょっと見にくいのですが、僕が書き出したノートがこちらです。
赤枠で囲った部分が曲名です。その右側は、その曲のどんな部分が好きなのかを書き出したものです。要素を洗い出すという作業です。曲のタイプやジャンルはバラバラですが、書き出していくと共通する要素が見えてきます。
- ゆれる(のれる)
- 8分(音符)メロ
- 頭(拍を感じる)ビート
- リフ(半音)
- 繰り返しメロディ
- 切ないコード
- 荒々しさ
- 切ないけどのれる
- 切なさ、儚さ、弱さ
などなどです。それらを似た者同士を同じカテゴリーに分けます。A,B,C…とカテゴライズします。それが次の画像です。
すると3つのカテゴリにまとまることがわかりました。
- のれる(頭拍を感じるビート+8分のメロ、リフ(半音)ロック)
- せつない(自分にとって切なさを感じるコード進行)
- 荒々しさ(ドラム、ベース、ギターの音色)
です。ノリがあって荒々しいけど心情(せつなさ)を表現しているものが好きだということがわかりました。納得です。それをキャッチコピーのようにまとめると
ノリとスリルとセンチメンタル
といったかんじです。
自分が好きだと思うものを「聴きたい」のか「作りたい」のかをはっきりさせる
「聴くのが好き」と「作るのが好き」は似ているようで全然違います。次の作業は「自分が好きだと思う曲(要素)を聴きたいのか?作りたいのか?」をはっきりさせます。
「聴きたいものを作りたい」ケースもあれば「聴きたいものと作りたいものは別」というケースもあるかと思います。自分はどちらなのかをはっきりさせる必要があります。
なぜなら、聴きたいだけならプレイリストに入れればそれで終了だからです。今回は何を作りたいのかを明確にさせるための作業なので、出てこないようならもう一度書き出し直します。
僕の場合は「聴きたいものを作りたい」でしたので、書き出した要素をこれからの作品に盛り込めば聴きたいものが出来上がります。
大事なのは自分と向き合うこと
何を作りたいのかは、自分にしかわかりません。誰かが教えてくれるわけではありません。人から「らしさ」をフィードバックされることもあるでしょう。でも、それを作りたいかどうかを自覚していることが大事になってきます。
「自覚をしていながら表現する/しない」のと、「無自覚で表現する/しない」のではだいぶ違ってきます。長くクリエイティブを続けていくなら自覚がとても大切です。
何を作りたいのかがわからない場合、自覚が出来ていないことが多いのではないかと思います。そんな時は原点に立ち返り、自分はどんなものが好きなのかを自覚することで壁を乗り越えられるきっかけになります。
家にいる時間がたっぷりとある今、もう一度自分は何を表現したいのか?何を作りたいのか?に向き合う良い機会になるのではないかと思います。
それでは!
À bientôt.